夢の続きで逢えたら
「どうかな。まだ聞いてない。ただ…」
ただ?
「当分は歌えないと思う…」
「でも、明日には退院できるんだろ?」
「それとこれとは話が別だ。歌うことは思ってる以上に体力使うんだ。今身体に負担かけたら、当分どころか一生ってこともあり得る」
「病気自体、休養してれば治るのかよ?」
「それは…」
おそらく進行が遅れるだけだろう。
この場所で、また詩野の歌を聴ける日はいつになるの?
僕の居場所は?僕の役目は?
夢が、詩野が、心の中で膨らんで、そのまま何もなかったかのように遠ざかった。
残された手段は…
「手術」
それが唯一の光……
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