夢の続きで逢えたら
最終章
夢の続きで逢えたら
二千十年。
十二月二十六日。
午前八時。
僕は目を覚ました。
カーテンの隙間から、初冬の柔かな陽光が差し込む。
「まずい!遅刻だ!」
一人暮しを始めて一年も経つと、自然と独り言も多くなった。
髪の毛をセットしている時間なんてあるはずもなく、急いでスーツに着替える。
相変わらずネクタイを締めることに慣れない。
僕は、アニメのシーンでよく見るように、
食パンをくわえたまま家を飛び出した。
いつものように満員電車に揺られ、
「はぁ…今日も嫌な仕事か」
そう心の中で呟く。
僕は大学を卒業したあと、IT関連の会社に就職した。
就活なんて、
“みんながしてるからなんとなく…”
そんな思いで始めたのに、
世間では大手と言われる会社に行けたのは、正直言ってラッキーだった。
社会人になってから、もう一年以上が経つので、
仕事には多少慣れてきたが、やはり人間関係がうまくいかず、
仕事が嫌だと言うよりは、わざわざ上司の機嫌を取ったり、
真面目に仕事をしているフリをすることが面倒だった。
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