夢の続きで逢えたら

アロマ缶


帰ってすぐに、

僕は浩二に電話をかけた。


「もしもし」

「おぉ、一軌か。どうした?」

「就職決まったみたいだね。母さんに聞いたよ」

「まぁ一応ね」


「おめでとう。それじゃ」

「え?久しぶりにかけてきたと思ったらそれだけ?」


電話越しに、鼻で笑う感じの浩二が目に浮かぶ。


「まずかったかな」


「いや、まずくは…」






「…そうだ!」

気まずくなりかけた空気を浩二が遮った。


「なに?」

「日曜日ひま?買いたい物あるから付き合ってくれよ」

「まぁ、特に予定はないけど」

「じゃあ決まりだな!場所は――」




―「ということで!じゃな!」


「ちょっ!……」




浩二の一方的に電話を切る癖は未だに直っていなかった。



それでも久しぶりに会話ができたことが、

少し嬉しかった。





.
< 23 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop