夢の続きで逢えたら

尾行開始から二時間が経過した。



まだ朝の十時だというのに、太陽がやけに生き生きしている。




学校をサボってまで、

何してるんだか…




頬づえをつきながら、

排気ガスに覆われる汚れた街並みを眺めているうちに、

つい、うとうとしてしまいそのまま眠ってしまった。









夢の中で誰かが僕を呼んだ。

『あの〜…すいません。……あの〜、あの!』





僕はまだ夢と現実の境界線を行き来しながら、

声のする方を見た。

「あの、すいません」

「なんですか?」


重たい瞼の奥にうっすらと女性のシルエットが浮かぶ。



夢かな?



そのままもう一度目を閉じようとした時、

突然なにかに呼び戻されるように意識が戻った。





「え!?あっ、はい!すいません寝てました!」




そこには、

クスッと笑いながら僕を見る詩野の姿があった。



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