夢の続きで逢えたら
「名前は何て言うの?」
そう言いながら、ノートの表紙を見る。
「カク……ム…?」
「カガミだよ」
「カガミ?へぇ、カガミって読むんだ。各務一軌。珍しい名前ね」
「詩野の方が珍しいと思うけど…」
「歳は?」
「何これ?事情聴取?」
「違うわよ。でも、自分のストーカーさんのことくらい知っておかないと」
「やっぱり怒ってるんだ」
「そんなことないわ。それで?」
「あぁ、ごめん。二十一だよ」
「そっか。じゃあ同い年ね」
そのあと詩野は、
意味もなくノートをパラパラめくりながら質問を続けた。
「それで、なんで私を?」
「なんでって……」
好きだから。
なんて言えない。
「なんで尾行してたの?」
僕は、詩野の持っていたノートを取り返し、
どこを見るでもなく、
「君の歌が、聴きたくて」
そう答えた。
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