夢の続きで逢えたら
贈り物
浩二たちと飲んでいた店は、地元からもそれほど遠くはなく、
三十分ほどで、公園に着いた。
走り疲れた僕は、一歩一歩ゆっくりと息を整えながら、
噴水へと向かった。
あれ?
人影がひとつ。
詩野だ。
「あの〜」
後ろから静かに声をかける。
「ごめんなさい。今日はもう――」
後ろを振り返り、
僕だと気付いた詩野が言いかけた台詞を途中でやめた。
「ストーカーさん」
「各務だよ」
「フフ。ありがとう、来てくれたんだ」
「帰り道だから、寄ってみただけだよ」
誰でもそれが嘘だとわかるほど、
僕の額からは大量の汗が滴り落ちていた。
詩野は何も言わずにタオルを貸してくれた。
「でもごめんなさい。今日はもう終わっちゃったの」
「…そっか」
落ち込んだ表情が見えないように、
僕はタオルで顔全体を拭いて誤魔化した。
「そのタオルあげるわ。ストーカーさんにとってはいい記念品になるでしょ」
「怒るよ?」
「フフ。ちゃんと覚えてるわ。ごめんね。各務くん」
そう言って詩野は左手に大きな手提げを、
そして右肩にギターをしょった。
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