夢の続きで逢えたら
「この前、医者に手術を勧められたわ」
「本当かよ?」
「うん…。成功すればほぼ完治。でも失敗したら………」
「成功する確率は?」
「七十パーセント」
「高いとは言えないな…」
「そうね…。でもこのまま放っておいたら、もう歌えなくなるかもしれない。それだけは嫌」
「泣くなよ」
「泣いてないわ」
詩野の鼻をすする音が聞こえる。
「大丈夫。詩野は昔から強い子だったから」
「うん……」
一気に酔いがさめた。
バラバラだったものが、今一つに繋がった。
最初に詩野の話をした時の大輔の仕草も、
公園で言った詩野の、
『もう時間がないかもしれない』
という言葉も……
詩野は何か大きな病気を抱えてる。
僕にできることは……
そのあとも続く二人の会話が、
真実を知ってしまった僕の心にこだまして、
行き場所を失った不安を、より一層大きくした。
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