夢の続きで逢えたら
後ろのドアを開けて車に乗る。
「おはよう」
「おはよう。昨日はよく眠れた?」
「あぁ、ぐっすり。タイマーかけ忘れちゃったけど」
「タイマー?」
「あ、いや、なんでもないよ」
車がゆっくりと走り出す。
「それより詩野」
「なに?」
「さっき、トランクにギターがあったけど?」
「なんか詩野ちゃんはアレがないとやっぱりダメなんだってよ」
バックミラーに映る、僕ら二人をチラッと見て浩二が言った。
「そういうこと」
「そっか」
「一軌にとってのアロマ缶みたいなもんだよ!」
助手席からクルッと身体を回転させた大輔が、
ニヤつきながら僕に言った。
「またその話かよ」
「あぁまたその話だ。詩野はもう捨てたかもな」
「失礼ね!私ちゃんと使ってるわよ」
「ホントかよ!?それで、一軌に恋した!?」
「おい大輔!いい加減にしろよ!」
「こわいな〜怒るなよ。はいはいすいませんでした」
詩野が何か言う前に止めておきたかった。
それが本当でも冗談でも、僕には聞く勇気がなかった。
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