その手で溶かして
「女って真雪だよ。ほらっ。」
言葉と共に遠藤君が横に動いたため、私の姿がウミの視界に入ってしまった。
「ユキ?」
私はウミの姿を視界に入れることが出来ずに、遠藤君の見えるはずのない背中を見ようとしていた。
遠藤君は私と並ぶように立ち、一歩私のほうへと歩み寄る。
「俺が誘ったんだ。一人で観るのもつまらないから。」
「……そ、そっか。お前等同じ高校だったもんな。」
「あぁ。同じクラスだし。話し出したのは最近だけど。」
「なんかあやしいな。付き合ってるとか言うなよ?」
どうしてウミはそんなことを言うのだろう……
私と遠藤君がどういう関係であってもウミには関係のないこと。