その手で溶かして

「図書室で勉強したほうがはかどるの。」



ガチャン


と音を鳴らしながら、ママがテーブルにスプーンを置いた。



「本当に勉強しているの?貴方も勉強、勉強ってママに嘘をついて遊んでるんじゃないの?」



始まった。



私に向かって言っているけど、これは私への言葉ではない。



「聞いてるの?」



「聞いてます。」



「こっちが何も言わないでいたら、貴方はどんどんとつけあがる。そんなに勉強が大事?家族との時間よりも大事なものなのかしら?それとも貴方はもう家族を大事だと思ってないの?毎日、こうして家にいて、家族のことだけを考えている私をなんだと思ってるの?」



始まってしまったら止まらない。



私は後少しで食べきれた料理を見つめながら、スプーンをテーブルの上に置いた。


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