その手で溶かして
「ママには感謝してる。いつも美味しいお弁当や料理をありがとう。」
私の言葉に、まくしたてていたママの勢いが止まった。
「でも、今は勉強に専念したいと思ってるの。大学受験もあるし、学年で一番になりたい。だから、できれば今まで通り、図書室で勉強をさせて欲しいな。」
「そうね……」
ママは言う相手が私でないことに気付いたのか、席を立ち、キッチンへと向かった。
「食べおわったなら、さっさと部屋で勉強でもしなさい。いつになったら、一番を取るの?」
「はい。」
私は食べたかったご飯を諦め、再びギーーっと音を鳴らしながらリビングをあとにした。