その手で溶かして
一番
「ここはさらっと流して、こっちを重点的に覚えたほうがいい。授業でもこっちのほうが時間をかけているだろ。」
「本当だ。」
私が教えてと頼んだわけではないのだけれど、いつの間にか教えてもらう形となっていた放課後。
夏の暑さが日ごと増して行く。
遠藤君曰く、私は無駄な勉強が多いらしい。
本当の意味での勉強はしているらしいが、テスト向きではない。
そんな風に言われたことが、勉強を教えてもらうようになった始まりだった気がする。