その手で溶かして
ライバルである遠藤君が私のせいで成績が下がり、そのせいで私が1番に繰り上がったとしても嬉しくはない。
私が欲しいのは揺るぎない1番であって、偶然に取れた1番ではない。
だから、遠藤君にもいつも通り勉強をしてもらう必要がある。
ライバルに勉強を教えてもらうなど不本意ではあったが、これはズルをしたわけでも偶然でもない。
今回、私が1番を取れたなら、それは私の実力だ。
遠藤君の力を借りたけれど……
「今日は早めに帰ろうか?真雪は帰って寝たほうがいいよ。目の下にすごい隈が出来てる。」
「そんなに目立つ?」
「こうして向かい合っていたら、はっきりとわかるよ。」
「じゃあ、今日は少し休むことにするわ。」
「それがいい。」