その手で溶かして
「傷跡ひどいね。」
「あぁ、これか。一応手術したしな。」
ウミは左側の鎖骨を撫でながら、まだ空を見上げてる。
「なんで、上ばかり見てるの?」
「不思議なんだよ。」
「何が?」
「今、こうしてユキがここにいることが。昔は嫌なことがあるたびにここに逃げ込んでたろ。そのことを思い出してた。」
「そんなこともあったわね。」
そうだった。
私はいつも泣きたくなると、この場所へきて大声で泣いていた。
ウミに助けを求めるように、できるだけ大きな声を出して……