その手で溶かして

すると、ウミは決まって私の前に現れ、何故か一緒に泣いてくれたね。



「何年かぶりにユキの姿をここで見つけられたことが夢みたいで、空見上げながら頭の中整理してる。」



「そう。」



私もウミの見上げる空を見上げた。



星一つ輝いていない、淀んだ空はまるで私のよう。



だから、ウミは私ではなく空を見上げてるの?



そう、聞きたかったけれど、私の想いが素直に声になることはなかった。


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