その手で溶かして

ママが出て行ったあの日だって、次の日になれば何も変わらない朝の光景が私の目の前にはあった。



片付けられた部屋で


「おはよう」


と声をかけてくれるママを見た瞬間、自然と笑みがこぼれたのを昨日のことのように記憶している。



ただ、一つだけ。



一つだけもとには戻らなかった物がある。


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