その手で溶かして

私の家を横目でチラリと見たウミは


「あぁ。」


とまた素っ気ない声を出す。




「ウミの家のお隣さんだったんだ。ごめんなさい。家の前で。」



突然、手の平を返したように私に詫びる女に私は言葉を返した。



「気にしないで。でも、次からここではしないで欲しいわ。それじゃあ。」



私はそう言い終えると逃げるように家の中へ駆け込んだ。




「怖いお隣さん」

という猫なで声が耳に残ったまま。


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