その手で溶かして
そんなふうに考えるなら、遠藤君が私を好きと言うのも何かしらの利益があるからだろう。
じゃあ、それを逆に考えると……
私が遠藤君を好きになりたいのなら、利益になることを見つければいいということか。
あんなに難しく考えていたことが、とても簡単なことのように思えてきた。
胸につかえていたものが一つ取れた感覚に、気分が良くなった私はペンを置き、天井に手を伸ばし、伸びをする。
「真雪、話がある。」
すると、突然背後から声をかけられた。
突然のことに一瞬体がびくついたが、振り向いた先にいたサワの姿を見るなり、冷静な自分を取り戻す。