その手で溶かして
「私には好きとかっていう恋愛感情がわからない。でも、遠藤君のことを好きになりたいと思ってる。」
「そんな……遠藤君は知ってるの?」
「ありのまま、すべてを話してる。」
「そう。」
少しの間、私達の間に流れる沈黙が一層肌寒さを感じさせた。
そろそろ、あの季節だな。
窓から外の景色を眺めていると、つい昨日まで色付いていたはずの木々がもう葉を落としている。
この葉が落ちきる前に、やってくるんだ。
寒さのせいか、嫌なことを考えてしまったせいか、頭がズキズキと痛みだす。