その手で溶かして

そんなことばかり考えていると、目の前にサワがいることを忘れてしまいそうだった。



「……たし、あきらめない…」



「えっ?」



下を向いたまま話しだしたサワの声が聞き取れずに、私は一歩前へと体を傾けた。



「私は遠藤君のこと諦めないから。」



「えっ……うん。」



「うんって、真雪はそれでもいいの?それとも、私には取られないっていう自信でもあるの?」


< 203 / 442 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop