その手で溶かして

「お利口さんな真雪ちゃん。私に遠藤君を譲ってよ。友達でしょ?友達のために身を退いてくれない?」



話の内容よりも、サワの口調に腹が立った。



人を小馬鹿にしたような、私を見下したような、その話し方に……



サワは私に詰め寄り、もう一度同じ口調で同じ言葉を吐く。



「友達でしょ?私に譲ってくれない?」



限界だった。



サワを傷つけたくはないけれど、こんなふうにされる筋合いはない。



私は顔を上げ、口を開こうとした。



「俺は物じゃないよ。」


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