その手で溶かして

「そういえば……真雪、お使い頼まれたんじゃ?家に帰らなくて大丈夫?」



「今日、急ぎで使うものではないから平気。」



平気で嘘に嘘を重ねる私はなんの罪悪感すら感じない。



嘘は使い用……



その言葉の通り、嘘をつくことで相手に嫌な思いをさせなかったり、余計な心配をかけさせない。



そんな嘘は必要だと思うし、罪悪感を感じることはない。



「そうか。でも、連絡もしないで門限破るなんて、お母さんが心配しているんじゃないのか?」



「そうね。」



心配というよりは、怒っていると思う。



今日はその怒りに付き合いたくなくて、私はこの場所にいる。



だからといって、いつまでもこうしているわけにはいかないけれど。


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