その手で溶かして
「ほら、真雪ちゃんも携帯出して。」
「…う、うん。」
女の言葉に動揺しながら、私は鞄の中から携帯を取り出した。
また、一人増えた。
家族以外の番号がまた一人……
「これでよしと!」
「名前聞いてもいい?なんて登録すればいいかわからなくて。」
「えっ?私、自己紹介してなかった?」
コクリと頷く私に
「ごめんなさい。直子です。ナオって呼んで。」
とまた可愛らしい笑顔を見せる。
「ありがとう。」
この笑顔を見ると、私まで素直になってしまう。
「やっとドリンクきたぁ~」
ナオはテーブルに無造作に置かれた飲み物を眺める。
そして、私の分と自分の分の飲み物を取ってくれた。