その手で溶かして

こんなに寒い中、彼女は背筋を伸ばし、凛と立ち振る舞っている。



私に向けられた、眩しいくらいの笑顔は憎らしささえ感じてしまう。



「おはよう。サワ。」



「寒いね。」



「本当に。嫌になるほど寒い。」



どちらからというわけでもなく、私達は立ち止めた足を再び動かし始める。



「いくら寒いからって真雪は背中縮めすぎ。姿勢が悪くなるよ。」



「そう?」



私はそんなこと気にしない。



例え、姿勢が悪くなり、周りから何と言われようと構わない。



大げさに言えば、気持ち悪いと罵られるような存在になりたいのだ。



いじめに合ったりしたいわけではないけれど、サワのようにキラキラっていうのかな……



そんなオーラを発することだけは御免だ。

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