その手で溶かして

新生活


トレンチコートを羽織っていても、まだ少し肌寒い春の日。



それでも、日差しは春の訪れを感じさせてくれるようにポカポカと温かかった。



私は大学の入学式やオリエンテーションを終え、新しい環境で、再び勉学に勤しんでいた。




環境は多少変化したものの、私の“当たり前”は壊されることはなく、形を変えて継続していた。



「真雪ちゃん、お昼行かない?」



「ごめんなさい。今日はお弁当だから、1人で適当に食べるわ。」




「わかった。また今度行こうね。」




私の隣の席で、鞄にテキストなどを詰め込みながら、お昼のお誘いをしてくれたのは、同じ学部の怜子(レイコ)ちゃん。



私はレイちゃんと呼んでいる。

< 289 / 442 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop