その手で溶かして

「真雪は真面目すぎるよ。たまには羽目でも外したら?」



呆れた口調のサワは私の顔は見ずに、真っ直ぐに教室へと足を進めた。



真面目?



私が真面目なわけがない。



真面目に何かに取り組んだことなど一度もないし、誰かのために何かをしたことだってない。



私の中で真面目イコールいい子という定義があるせいか、真面目なんて言われてしまうと返す言葉が見つからない。



私は決していい子なんかではないから。


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