その手で溶かして
きっと、ナオにとっては最後の賭けなのだろう。
ただ、人の想いはそんな簡単に諦めれるものなのか……
私はそれをこの目で見てみたいと思ったのかもしれない。
「ありがとう。真雪ちゃん……ありがとう。」
ナオは目に沢山の涙をためて、私の手を握る。
温かいナオの手……
「自分のためだから、気にしないで。」
「えっ?真雪ちゃんのため?」
「そうよ。」
私はナオのために、付き合うわけではない。
ナオの言葉を……
ナオの感覚を……
知りたくて付き合うだけの話。
決して、優しさなんかじゃない。
「私、馬鹿だから、よくわからないけど、付き合ってもらえるのは、ありがとうだよ。」
温かい手に、温かい笑顔。
この時、私は生まれて初めて、嫉妬という感情の意味を知った。