その手で溶かして

本当に5分くらいで、ウミは私達の目の前に現れた。



ウミ以外には2人の男。



仲が良さそうに、笑いながら足を進めた先に私なんかがいたから、ウミは驚いたのだろう。



ピタリと足を止め、目をぱちくりとさせている。



「拓海……ちょっといいかな?」



消えそうな声で呟くナオの言葉で、私はようやくウミの視線から解放された。



「先行ってるぞ。」



ウミと一緒にいた男は気をきかせて、先にカラオケ店の中へと入って行く。



「悪いな。すぐ行く。」



ナオに視線を向けたまま、ウミは男に言葉を返す。

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