その手で溶かして
集中して雑誌を読むことができない私は、気付かれない程度にチラッ、チラッと目線を本から上に上げる。
ナオが一方的に話をし、ウミがそれに相槌をうつ。
そんな光景が暫く続き、ウミが口を開いたかと思うと、ナオはこちらへ向かって走りだした。
私は慌てて、目線を下ろし、雑誌のページを捲った。
私にも“野次馬根性”とでも呼ぶのか……
そんな感情が存在していたことに気付く。
近所のオバサン達が、救急車や消防車のサイレンを聞くと集まるように……
私にも似たような感情が備わっていたんだ。
いつもはオバサン達を白い目で見ていたはずなのに。