その手で溶かして

「真雪ちゃん……」



肩で呼吸をしながら、近づいてくるナオ。



私は視線だけをナオに向けた。



すると、そっと私の腕に手を乗せて


「帰ろうか。」


と泣きそうな顔で笑った。



「どうだった?」


と途中まで出かけた言葉はナオの声を聞いた途端に、引っ込んで行き、私は何故かナオに手を引かれながら、地下鉄へと向かっている。



いつもお喋りなナオが何も喋らない。



ただ、私の手を引きながら歩くだけ。



そんなナオの横顔をチラチラと見ながら、どうなったのか気になる私はやはり“野次馬根性”炸裂だ。



自分には直接関係のないことなのに、話を聞きたくてたまらない。



何があって、ナオがどう思ったのか聞きたくてウズウズしている。

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