その手で溶かして

「本当に好きなの。拓海の側にいれるなら、どんなことでもできるの。」



私にはわからない。



他人のために、自分を犠牲にするなんて……



想像さえもできない。



「でもね、拓海はやめたんだって。もう、気持ちのない子と関わるのはやめにしたんだって。虚しいだけだからって……」



ウミはやめたんだ。



そういった行為をするための友達を作ることを、やめたんだ。



「私のことは、大切な友達だから、友達のままでいてくれって言われた。」



「そうなんだ。」



ナオは懸命に涙を堪えて、私に笑顔を向ける。



「そんなふうに言われたら、諦めるしかないや。完敗。」



エヘヘって頭を掻いているナオを見ていると、何故か不愉快な気分になる。

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