その手で溶かして

「なんで笑ってるの?」



「えっ?」



「笑いたくないのに、笑ってるでしょ?私に気を遣ってるつもり?そんなの不愉快よ。泣きたいなら泣けばいい。私はナオに笑ってなんて頼んでないわよ。」



「真雪ちゃん……」



せき止めていた何かが外れたように、ナオの瞳からは涙が零れた。



しゃくりをあげて、泣き続けるナオ。



涙が出るなら、流したほうがいい。



枯れてしまう前に、悲しみを洗い流さないと……

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