その手で溶かして
「卒業式から会ってないわよ。」



「えっ?なんで?」



ますますナオの顔が近づいてくる。



「なんでって……連絡がないし、会う用事もないから。」



私の返答がおかしかったのか、ナオは驚いた顔をして口をポカーンと開けている。



「付き合ってるんだよね?」



「えぇ。」



今はどうかはわからないけれど、


「別れよう」


とは言われていない。



「信じられない……」



「何が?」



今日はやけに人が多いな……


と私は喫茶店の中をぐるりと見渡していた。
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