その手で溶かして
「あっ、そういえば!!」
突然、大きな声と共に停止した指の動き。
ナオの手元から顔へと視線を移した私は、テーブルに少し乗り出していた体をもとの位置へと戻した。
「真雪ちゃんの家の近くにコンビニがあったでしょ?」
「えぇ。」
地下鉄に行くまでの道のりに、一件だけコンビニエンスストアがある。
「そこはどう?店長が知り合いだから、すぐに働けると思うよ。」
コンビニならば、必要以上に人と接することはないし、歩いて2、3分の距離というのも便利だ。
「いいかもしれない。」
「じゃあ、早速連絡してみよう!!」
ナオは氷が溶け切り、汗のかいたグラスを持ち上げると、コーラを一口飲み、携帯を耳に当てた。
色が薄くなったコーラは味なんてしなさそう。