その手で溶かして
初めての給料が、私の口座に振込まれた翌日……



私はそれだけでやる気が倍増していた気がする。



努力すれば、お金という形になって、この手の中に入り込んでくる。



こんな感覚は初めてだった。



勉強はいくら努力したって、誰からもご褒美を貰えるわけではない。



やって当たり前。


できて当たり前。


それしかできないの?


努力が足りないのでは?



努力したって報われないとはこのことだと、通帳に記載された数字を見ながら感じてしまう。



働くってことは、勉強よりも、もしかしたら認めてもらえることなのかもしれない。



現に、いつだって


「お疲れ様」


という労いの言葉もかけてもらえるのだから。
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