その手で溶かして
こんな日もあるだろう。



いくら避けていたって、同じバイト先なのだから仕方がない。



「お先。」


と私に声を掛けたウミは休憩室を出ていった。



ウミも私と2人きりなど、望んでいないはず。



“ユキ”とは呼んでくれるようになったけど、私達の間にはいつの間にか、見えない壁がある気がする……



私は昔から、あからさまにウミを避けていたのだけれど、今はウミからもそんな雰囲気が感じとれる。



こうやって、私達は幼なじみからも卒業する。



いつの間にか幼なじみってことさえ、思い出すことがなくなる日が訪れるのだ。




それでいい。



それが私の望んだこと。

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