その手で溶かして
やっと口を開いた遠藤君は、力のない瞳でウミを見つめる。



「真雪は2人きりで大丈夫か?」



「えぇ。大丈夫。」



「わかった。近くに居るから、終わったら連絡くれ。」



わかった。と返事をしようと思ったけれど、ウミの携帯番号なんて知らない。



「ほら、お前も行くぞ。」



私の視界から消えたはずのウミの声が再び聞こえてくる。



後ろを振り替えると、眉毛をへの字にしたナオがいた。



そうか。



ナオに連絡すればいいんだ。



縋るような目で私を見つめるナオは、ウミに引きずられるようにアパートから出ていった。

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