その手で溶かして
私は別に勉強すること自体が好きなわけではない。
それに、毎日同じことをして飽きないのではなく、私には毎日同じことしかすることがないだけの話。
「そんなに見つめられると照れるけど?」
ウミは悪戯に微笑み、私のほうを見た。
咄嗟に目を背けたけれど、何秒か重なり合った私とウミの視線。
やっぱり返答などしなければ良かった。
タイミング良く、到着した地下鉄から私は逃げるように走り去った。
ウミの視線を振り切るように、必死で地面を蹴りあげた。