その手で溶かして
手で雪虫を払いながら、足を進める私は雪虫が嫌い。
そして、雪虫が舞うこの季節はもっと嫌い。
ハァ〜と息を吐くたびに白い煙のような二酸化炭素のかたまりが空へと昇る。
私は何度この季節を繰り返せば、この季節から抜け出すことができるのだろう。
いつ訪れるかわからない、その時を今は肩を丸めて待つことしかできない。
もし、おとぎ話が存在するなら奇跡を起こして。
私の記憶からこの季節を消してほしい。
そんな私の願いも虚しく、毎年この季節はやってきて、私を嘲笑うかのように雪虫はふわふわと宙を舞う。