その手で溶かして

私は脳内だけではなく、すべてがあの頃へと戻ってしまったかのように泣き続けた。



頼もしくて、温かいウミの腕の中で……



「落ち着いたか?」



しゃくりをあげて泣き続けた私は、どのくらいの間、こうしていたのだろう。



泣いたことによって、頭の中がスッキリとしている。



「中へ入ろう。」



ウミに手を引かれ、庭から玄関へと回り込む。



もう、ウミに抵抗したりはしない。



というか、一度壊れてしまった鎧は簡単に纏うことが出来なかった。

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