その手で溶かして

「お風呂に入って寝たいところだけど、大切な話みたいね。」



「あぁ。しかも、今すぐ聞いてほしいんだ。」



「わかったわ。」


と言ってソファーに腰を下ろしたお母さんの表情は、物凄く優しいものだった。



ウミへと向けられている顔はあの頃と変わらない。



少しだけホッとした私はウミに続きソファーへと座った。




なんの前置きもなく、私達家族の話を始めたウミ。



先程、私が話した内容が正確にウミによって語られてゆく。



話が進むにつれて、顔を歪めてゆくお母さん。



私は他人事のようにその光景を眺めていた。
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