その手で溶かして
物心ついた時には、一緒にいるのが当たり前だった3人は何の迷いもなく、同じ学校へと進学し、それぞれが同じ時期に就職をした。
私からすれば、何の迷いもなく3人揃って進学など、理解できない。
3人とも、将来進む先が同じならば、話は別だが……
お母さんの言い方では、そんな感じはしない。
将来や進路よりも、3人で居ることのほうが大切なことだと思っているような話し方。
勿論、就職先は同じ場所へ、というわけにはいかず、それぞれが初めて1人で歩きだした。
家が近いといっても勤務時間がバラバラな3人は月に1、2回会えればいいほうだった。
それは、当たり前のこと。
けれど、お母さんは3人が別々になってしまったことが寂しかった。