その手で溶かして

新しい環境に馴染めずにストレスが溜まっていたうえに、1人の時間をどう過ごせばいいのかわからず精神的にいっぱいいっぱいだった。



そんなお母さんを側で励ましてくれたのがウミのお父さん。



3人で居る時は恋愛感情など、抱いたことが無かったのに、2人になった途端にお互いが惹かれ合い付き合うこととなった。



「両親の馴れ初めなんて聞くもんじゃないな。」



ここまで一気に話したお母さんが一息をついた瞬間、ウミが口を挟んだ。



「私だって、こんな話息子にしたくないわよ。話やめる?聞きたいって言われたから話してあげてるのよ。」



何故かウミではなく、私を見ながら嫌味を言うお母さん。



私は理不尽だと思いながら、首を左右に振った後


「聞きたいです。お願いします。」


と頭を下げた。


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