その手で溶かして
こうしてウミに手を握られたことに、何の抵抗も感じないのは、昔の感覚に陥ってしまっているせい。
手を握られたのが、この場所でなければ……
たぶん、私はウミの手を振りほどいていた。
「……俺、怪我したんだ。」
「えっ?どこ?」
突然のウミの言葉に、私を庇ったせいで怪我をしたと勘違いした私は立ち上がり、ウミに近づいた。
「今じゃねぇよ。ユキを受け止めたくらいで怪我するような柔じゃない。」
「勘違いさせないでよ。驚いた。」
「ユキは相変わらずせっかちだな。」
ウミはハハッと笑いながらブランコを漕ぎだす。
私ってせっかちなのだろうか?
そう言われたことなど一度もないし、自分自身せっかちだと感じたことも一度もない。