その手で溶かして
ベタベタと制服が肌に触れながらも、私は図書室でペンを動かす。
窓を全開にしているせいで、白いレースのカーテンがカーテンとは思えない動きをしている。
フワァっと天上に向かって舞い上がっては、ゆっくりと元の位置に戻ろうとする。
ペンを動かしすぎて疲れたときは、ゆっくりとその様子を眺めているのが好きだった。
「ここいい?」
休憩をやめて、再び、ペンを動かし始めた私の耳に、珍しく誰かの声が届く。
前にも言ったけれど、放課後に図書室を訪れるのは私か図書委員くらいのもので、別の声を聞くのは珍しい。