その手で溶かして
校舎から一歩外に踏み出せば、そこにはまだ冬の爪痕が残っている。



いくら日中の日差しがポカポカと心地良くたって、それは暖房の効いている室内だからそう思えることであって、外はまだ寒さが身に染みる。



スプリングコートの襟を立て、首を縮めながら私は駅までの道程を急いだ。



なるべく寒さを感じないためは勿論、急がなければ夕食の時間が迫っている。



ローファーをペタペタと鳴らしながら、なんとかいつもと同じ時刻の地下鉄に乗ることができた。



ハァハァ……



少し走っただけで、息があがってしまう私は10代とは思えないほどの運動不足。


我ながら情けないけれど、だからといって体を鍛えようとか、体力をつけようなんていう気持ちにはならない。



今日だって、息はあがったけれど、夕食の時間には間に合うのだから、問題はない。

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