その手で溶かして

遠藤君の隣に腰をおろした私は額の汗を拭う。



かなり体が汗ばんできた。



けれど、辛いとか我慢できないというわけではなく、慣れてくるとこの暑さが寧ろ心地よい。



「何度も観に来てるけど、いまいちルールがわからないんだよな。」



「私はさっぱり。あの白いポールがゴールだってことくらいしかわからない。」



そう言いながら、遠くに見えるポールを指差した。



「意外だな。観に来るの初めて?」



「えぇ。」



「そうだよな。拓海と真雪が仲が良かったっていっても、小学生の頃の話だもんな。」



「そうよ。」



そう。



私達は別々の道を歩んできた。



そして、これからも別々の道を歩んで行く。


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