その手で溶かして
「拓海の奴頑張ってるな。」
「そうね。」
試合が休憩時間に入ると、遠藤君が口を開く。
遠藤君の声を聞くと、胸の苦しさが紛れるようだ。
「今日、負けたら、この試合が引退試合になるらしい。」
「そう。」
この試合がウミの最後の晴舞台かもしれないのか。
そんな時に、この場所にいること事態間違っているような気がする。
照りつける太陽をものともせずに、広い芝生の上を走り回るウミ。
私にも、もしかしたらこんな人生の選択肢があったのかもしれない。
室内にこもり、ペンを動かす毎日ではなく……