その手で溶かして

後半戦終了後……



点数の数え方などまったくわからない私でも、ウミのチームが負けたことはわかる。



崩れるように、その場にしゃがみ込むウミ。



他の選手も同様に涙を流していた。



お互いがお互いを支え合い、グラウンドを後にする。



最後の最後まで立ち上がれないウミを、私はこの場所から眺めているだけ。



そこへジャージを着た小柄な女の子がウミに歩み寄った。



ウミの体を抱えるように支える女の子。



「拓海の奴、やっぱりあの子とできてるんじゃないか。」



「えっ?」



遠藤君が発した“できている”という言葉の意味は男女の仲を言っている可能性が高い。


……いや。それ以外には考えられない。


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