虹の音


球技大会の本番前の練習で空木がいなかったときも…

たしかあの時間、五組の女子はバスケかなんかの試合があったはず。


…高山さん…その試合出てたのかな。


空木…もしかして、それ見に行ってたのかな。



「…凛、どないしたん!?」


伊純があたしの顔を見るやいなや叫んだ。


「え…?」

「顔真っ青やし…ふるえてるで?」


…あ。


伊純に指摘されて初めて、あたしを支えてる両足がふるふると小刻みにふるえていることに気づいた。

やばい…あのときと同じ。


4月の………


空木に好きな人がいると知ったとき。




…あれ、ほんとだ。


空木が高山さんとつき合ってることを裏付ける証拠とか、たくさんあったじゃんね。

それなのにあたし…

自惚れてて。


最低。




< 107 / 165 >

この作品をシェア

pagetop